そうだ! 新しい趣味…盆栽やってみよう!(表参道編)
あ〜、今週も疲れたなあ〜
12時…
そろそろ寝るか!
そんな時である、まさに眠りに入ろうとする、ああ、明日は休みや、起きなくていい…幸福度120%の時間を正面からぶち破ってきたのは一本の電話であった。
「もしもし…?」
「……」
「あれっ?」
切れちゃった…。
なんや、一体!
眠い気持ちも切れちゃったやん!!!
そんな時、電話の主からLINEが入った。
グッ、じゃねえよw
なに爽やかな感じ出してんだw
みなさま、ようく見ていただきたい。
送信時間、23:53。
そう、23:53。
誘います? こんな爽やかに誘います?
しかも…
聞いて驚け、これが、なんと…
なんと!
大学卒業以来、4年ぶりの会話。
なんという横暴さ、なんというジャイアン!!!
しかも、このLINEの主は、後輩である。
2個下の後輩にこんな扱いをされる私……。
一体、人様からどんな人間だと思われているのであろうか…
あまりの気さくなお誘いに世間の目まで気にし始める始末である。
そんな中、突如奴からの連絡はプツリと途絶え、次の日の朝、唐突にこんなメッセージが届いたのである。
興味ありませんかね…?笑
笑 じゃねえよ!!
とんでもねえ急展開。
夜中の12時に眠気を叩き切られこの提案である。
なんて日だ!!!
落ち着いて考えてみよう。
まさに私は昨日、「人様から一体、どんな人間だと思われれているのであろうか」と
悩んでいたところである。
そして、なかなかそういったことに対する率直な意見というのは、人間関係がある手前、聞きにくいし、言いにくい。
そこで、このメッセージだ。
「盆栽にはご興味ありませんかね?」
「ほなみさんなら、興味あるかなと思ったんですけど」
なーるほど!
私はそういう人間なのだ。
奴は大学のサークルの後輩である。
私は
大学時代はロックバンドをコピーなどしていた。
大学時代は金髪だった。
大学時代は酒を飲みまくっていた。
大学時代は道端で寝たりしていた。
そう
そんな私の姿を見て奴は「盆栽に興味がありそうな人」だと思ったのだ。
ちなみにこれを書きながら聞いてるのは最近ハマっているリップスライムのpopcornNancyである。
この曲はゆるりと踊りたくなるので是非ともオススメしたい一曲である。これを教えてくれたのもまた別の後輩であるが「ねー、ほーちゃん、今暇〜?」などと言ってくるような奴である。大変けしからん、と思う次第である。
いささか脱線してしまったが、そのような私の大学時代の姿をみて有り余る侘び寂びを感じたのであろう、奴は言ったのだ、「盆栽に行きませんか?」と。
しかし、考えてもみて欲しい。
もし私が
「ほなみさんって、いっつも牛丼食ってそうですよね」とか
「ほなみさんって、休日基本寝てそうですよね」とか
「ほなみさんって、梅酒漬けること以外、趣味無さそう」とか
そんなことを言われたら、少なからずしょぼりんするところである。
確かに奴とは、生まれてこのかた一切、盆栽トークなどしたことがないし、むしろ大学時代は「ウェーイ!」とか「なーんで持ってるの! なーんで持ってるの! 飲み足りないから持ってるの! ハイ!!!」とか「ウェーイ…」しか言ってなかったのにも関わらず「盆栽、好きそう」と言っていただけたことは大変な感謝なのである。
なので、私は勇んでこう答えたのだ。
「盆栽、行きたい!!!」と。
そうこうして、私がもう一人、この人こそ盆栽!というやつを見つけ出し、後輩と3人で盆栽教室に向かったのだ。
場所は表参道。
私たちは久しぶりの表参道の雰囲気にあたかも自分たちもオシャレさんになれたかのような素敵な気持ちになりながらうきうきと歩いていた。表通りから一本入り、路地をくねくねと歩くと目的の場所が見えてくる。
一見、普通のマンションだ。
エレベーターに乗り、目的の階を押す。
ぐーん、扉が開くとふかふかの絨毯が広がっていた。
「え、ほんとにこの部屋かな…?」
恐る恐る後輩を盾にしながら、(後輩が)呼び鈴を押す。
「はーい」
20代後半、もう少し年上だとしても30代前半にしか見えないような素敵なお姉さんが顔を覗かせる。
「あのう…、体験できたんですが…」
「はいっ! お待ちしてましたっ!」
こんな顔をしたお姉さんがずんずんと教室の中を案内してくれる。
とにかく優しそう、それが伝わってくれたらそれでいい。
「では、席に座ってくださいねー」
私たちの席には、私たちの他に素敵なマダムがいた。
お姉さんが説明していく。
今は冬なので、冬でも元気に育つ子を用意させていただきました!
− ほほう。
まずは根留めの針金を鉢にセットしますね!
− ふーむ、これで松が転げないようにするのね。
そして、目の荒い土から順番に鉢に入れていきます!
− 土、触るの久しぶりだなん。なんだか触り心地いいなん。
次に根っこをほぐしていきます。こんな風にプラスチックのケースをとって根っこの土を落としていってくださいね!
− お姉さんはそう言いながら、クロマツのトゲトゲをとても愛おしそうに撫でている。松のトゲトゲって撫でられるものなんだね。
そして、手で概ねの場所を鉢の中にセットし、さらに土を入れながら箸で土をさしてきちんと松とヤブコウジをなじませていきます!
− お姉さんは、「おや? こんなに力強く持っていい?」というほど力強く松たちを持ち、作業を進めていく。
はいっ!これで大体は完了です。ここから仕上げです。鉢の土の表面に苔をはっていきましょう!
− 私たちは苔を渡される。そもそも苔を渡されるの初めてだし、なにこれ、苔、気持ちい…。しっとりジューシー、素敵な触り心地である。
この苔の根っこみたいなのは切っちゃっていいんで!
− ほほう! 苔をハサミで切る! なんて不思議な感触! しかも一つ一つ手で苔をはってくと苔が愛しくなってきた。私は思わず、「苔、可愛い…」とつぶやいた。
するとお姉さんが
パンパカパーン!
「そうでしょう! そうでしょう! 木とか苔とか可愛いですよねっ!」
ズーン! と近寄ってこられた。
お姉さん、本当に植物を愛しているんだね。
そんなこんなでお姉さんに教えてもらいながら私が作ったのはこんなものである。
うふふ。
あの苔の感触を思い出すと愛情が募ってうふふ、となる。
ちなみにこの写真を友人に見せるとよく「手前のイルカはなーに?」と言われるが誤解しないでほしい。「トリさん」である。
お姉さんが「酉年なので一緒に写真撮りましょうね」と置いてくれたトリさんなのである。バカにしないでほしい。
お姉さんはその後、この盆栽の手入れ方法をおしれてくれた。
クロマツはここでこう剪定するといいんですよ。
ヤブコウジは…
といった具合である。
とりあえず、今植えたこの子たちはお日様が大好きなので、ベランダなど風通しがよくて日のよく当たるところに置いてあげてくださいね!
ここで突如素敵マダムの様子が豹変する。
「わっ、私…」
「どうかなされました…?」
「私のマンション、窓はあるんですけど、開かないんです…。この近くなんですけど…」
なにっ! この近くで窓が開かないマンションなど、超高級、ブルジョワマダムではないか!!!
マダムは続ける。
「あっでも、犬のお散歩をするとき、外に出してあげればいいかしら…」
マダムの犬の写真を見せてもらう。
とってもかわいいパピヨン。
私は想像する。おそらく50代は過ぎているであろう、しかし、肌もツヤツヤでどことなく品のあるこの素敵なマダムが片手にパピヨンのリード、片手に盆栽を携えてお散歩する様を。
「多分、それ、すこしだけ、面白すぎると思います…」
私たちはおずおずと切り出した。
お姉さんはひとしきり私たちのやりとりを聞き、5秒ほど黙った後、私たちのやりとりを「うふふ〜」と超絶テクニックでなかったことにした。
お姉さんは説明を続ける。
植物は季節季節で変わっていくのでお手入れの方法でわからないことがあったら、いつでもお電話してくださいね。
あっ!!!
でも! 今の時代、基本Googleで検索すればなんでも出てくるので「クロマツ 手入れ」とかで検索してみてくださいねっ!
お姉さんスマイルで、彼女は快活に告げる。
Google www
私たちはいっぺんにこのお姉さんの虜となったのだった…
なんという商売っ気のなさ…
なんという植物への愛情…
これを癒し系マーケティングと名付けよう。
そのものへの計り知れない愛情を感じて思わず「また来よ…」と思わせちゃう凄まじい破壊力を持っている。
本当に、植物が大好きでたまらないんだろうな。
私たちは、各々の盆栽を携え、表参道に颯爽と飛び出したのでした。
お姉さんの素敵な人柄も相まって、私たちの心はほこほこです。
ちなみに私たちのいった盆栽教室はここ。
さらにちなみにいうと、私がブログで好き勝手に紹介してる素敵なヒト・コトは単純に私が日々で出会ったものなので、特に宣伝とか、お金もらってるとかじゃないんですけど、お散歩のアイディアになればなあ〜と思って載せてます!
現代の人の毎日って、とっても忙しい。
他人同士が、密着して立つって異常だけれど、毎日満員電車に乗る。
人間が元々持ってる五感に対して、すこし無理をしているから、私は通勤退勤ラッシュには必ず音楽を聴いていないと辛いです。
だけど
盆栽さんが家に来てからというもの、忙しい日が2、3日続いた時でも
「あっ! 盆栽に水あげなきゃ!」
そんなことを思います。
あの木や苔さんがシワシワになってしまっていると思うと、早く帰らなきゃ!となります。
そして、植物ってとっても強くて、どんなにしんわりしていても水をたくさんあげると次の日にはシャキン!!!としていてその姿を見るたびに元気をもらえます。
盆栽のことをふと考えるとき、私は頭じゃなくて五感や心で考えているのだろうと思うのです。
みなさん、年度末でバタバタと毎日が過ぎていきますが、そんな日に、表参道のあの場所は、素敵な息抜きを与えてくれるかもしれません。
ということで、みなさん今日も心の盆栽育てましょう〜!