つくることば、とどけることば

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こんばんは!

 

米がなくなったので、「コメをください」と母親にLINEしたところコメと水出し麦茶にまみれて指輪が送られてきました。

「似合いそうだからいれてみました」というメッセージが添えられていましたが、おそらく飽きたんだと思います。普通は水出し麦茶を緩衝材にして指輪を送ってくることはしないと思います。

本も入っていましたが、これも私に読んで欲しいのではなく、単純に読み終わったからいらなくなったのだと思います。

一人暮らしの私の家は狭いのに、いらなくなったものをなんとなく送ってくる母。

私の誕生日なのに、自分の誕生日の日付が入った謎のバカでかい馬のぬいぐるみを送ってくる母。

母とは奥深い生き物です。

 

 

 

 

今日はほぼ定時に会社を抜け出し、五反田に行ってきました。

 

そこでしか買えないものがあって、どうしても行く必要があったのです。

 

五反田は我が家の最寄りからも近いので、ブーンと行ったわけですが、建物が見えてから店に行くまでのハードルが異様に高かった。

 

 

だって、着くなり、3階が地上階という不思議構造で、一見グランドフロアに見える3階にはオフィスが入り、一見地下に見える2階にはレストラン街、ユニクロ、などと書いてある。

 

 

 

恐る恐る入っていくと、案の定、すぐに道を見失いました。

 

 

だって、入るなり給湯室あるし、完全にオフィスだと思うじゃない?

 

 

思うよね?

 

 

怯えてスマホで目的のお店のホームページを見て見ると、やはりこのビルの3階と書いてある。

 

 

嘘やろ……、と顔を上げると私が立っているのはその店の前でした。

 

角度的にお店の看板が見えなかっただけで。

 

本当にスマホに慣れるというのは恐ろしいものです。

 

そして、私は目的の店で目的のものたちを買い、ちょっと足りないものを同じ建物の文房具屋さんで買い揃えました。

本当は世界堂にも行かなきゃならんかと、ひっそりうんざりおばさんだったのですが、この(失礼だけど)若干廃れているように見えるビルで揃いました。

いわゆる前時代のデパートというか百貨店の様相で、小割された地下にレストラン街がある、ほんと「いわゆる懐かしいタイプのデパート」なのに。

 

この建物はいればいるほど、不思議が募る建物でした。

 

だって、そんな感じに廃れている割には、目的のお店の品揃えはすごく豊富だし、「少したくさん購入したいのだけど、まとめて発注できますか?」と聞くと、「はい! もともと卸なので!」と言われたし、お姉さんは道具にとても詳しかったように思える。

 

とはいえ、不思議は不思議だが、必要なものが全部揃って帰り道の足取りは軽い。

 

 

帰りの電車で検索して見ると、どうやらここは「五反田TOCセンター」というらしい。

 

 

TOC

 

なんの略だか、わかります?

 

なんと……

 

東京 卸売 センター!

 

私、ひっそりと感動しました。

 

だからなのか、と。

 

あの不思議構造はもともと倉庫機能もあったぶんの、荷入れなんかも考慮した作りで、上のオフィスフロアは卸業者さんの事務所なのか。そして、今日買い物した場所は、業者同士で買い付けをするエリアだったのか。

 

なーるほど。

 

 

ユニクロや100均が所々入っていたのは、今の時代の流れに影響されているからであろうと思われます。

 

問屋街として有名な馬喰横山のあたりも、今ではかなり問屋業そのものが下火である。

それは、かつてジャスコが問屋部分の業務を中抜きすることで価格を下げることに成功し、それは当然のごとく庶民の圧倒的な支持を得て、革命的な速さで問屋業は衰退していったから、らしい。今ではジャスコはすっかりイオングループになったが、その傾向は変わらないままだ。(調べが甘いから違かったらごめんなさい)

 

問屋街って馴染みがないけど、調べるととても興味がわく。

 

例えばこんな記事とか。

www.timeout.jp

 

今までは一般市民はあまり縁のなかった問屋街や卸売業者さんだが、今では時代の変化によって小売も行います、というところが増えている。

現在、馬喰町などの問屋街を歩くと「小売りしてます」、「小売りお断り」などの表示があるのも、新鮮だ。街歩きが好きな人ならば、そんな気付きも楽しいのではないだろうか。

問屋街はある意味、今の時代だからこそ身近になったものの一つだと思う。

 

ただ、五反田TOCにしてももう少し工夫をしたたらもっと良くなりそう、という部分がないというわけではない。

 

フロアをふらふら歩きながら、どうしたら良いだろうと考えていたのだけど、ここを活性化させよう! と言ってイマドキのおしゃれな感じにするのも違う気がする。ここはここでそれなりに店舗が回っていればいい、けどあと少し、という感じなのだ。

 

きっとTOCは少し特別だけど、元気のなくなってしまったかつての専門店街があるようなデパートはたくさんある。

そこはそこで品揃えがいいし、店員さんも詳しいし、それでいい。

けど、ご飯を食べたりするなら、そういうところのレストランよりは風の心地いい、オープンテラスとかで食べたい気もする。

さらにいうなら、日用品を揃えるならイオンやヨーカ堂の方が楽だ。

 

使い勝手がいい場所、そこにいて心地のよい場所、目的を的確に果たせる場所。

 

そういう場所が一つの建物で作られるのではなく、エリアを繋いで考えていけたらとてもいいな、と思いました。

 

なので今日は、しっかりとした目的があって行ったので、バッチリ目的を果たせてとても満足な日となりました。

 

そんな私がいそいそ買ってきたものは、篆刻に使う材料です。

 

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前世ぶりに彫りました。

 

ちなみに印泥って結構可愛いのです。

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 開けるとこんなんです。

ねりねりして使います。

(練るのが楽しくてぼうっとしてると無限に練ってしまいます)

 

きっと昔の人は「文字を書く」と言っていただろうけれど、今私は「文字を打つ」というだろうし、今日は「文字を彫っていた」。それに私は時に「文章を読み上げる」こともある。

 

文字はとても自由だ。

 

そのとき、自分が一番伝えたい形、一番伝えられる形でつくっていければ一番いいと思っている。

 

今日はゴリゴリゴリゴリ、たった一文字のことだけをずーっと考えて「ことばをつくって」いた。

 

一文字作るのに、3時間もかかってしまった。

 

3時間あればパソコンならば5000字は書ける。

 

けれど、この一文字は5000字に劣っているとは思えない。

 

今日彫っていたのは稲穂の「穂」。

 

長い間印刀を握って手が疲れてきた頃ようやく彫り終わり、おろしたての印泥をつけてそうっと紙に押す。

 

そして、ゆっくりはがしていく。

 

字を見て、子どもの頃、クリスマスプレゼントをもらった時みたいに無邪気に嬉しい気持ちになる。

 

なかなか印泥の加減が難しいけれど、久しぶりにしては頑張った。

 

 

ことばも今日歩いてきたような場所も、いちばんその良さが伝わる形で届けられる何かをつくりたい。そして、届けたいな。

 

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ほ、ほ、ほ。

 

同じ形のハンコでも、同じに見えるものは一つもない。

 

 

 

全部変わっていくけれど、その時その時のいちばん「いいかたち」があるはずなんです。

 

 

 

さて、今回はじっくり作りすぎ、時間がかかりすぎるのが課題だと判明したので、今週末は素材を変えてやってみるとしよう。

 

おやすみなさい。